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BBQ&Co|株式会社バーベキューアンドコー

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「農」が遠くなった今、僕らにできること。

BBQ&Co代表の成田です。
僕らはBBQ&Coのバーベキュー事業について語るとき、よくBBQ以外の話をします。歴史、社会情報、経済、哲学……話は多岐にわたり、一見BBQと関係ない話をしているように感じられるかもしれませんが、僕らの中ではいろいろなことがつながっています。
BBQは、単に肉を焼いて食べるだけのイベントではありません。
BBQによる場づくりやBBQコミュニケーションで、消費に偏った現代社会が抱えている社会課題の解決にもつながっていくのではないかと考えています。

農に関わる人は年々減少している

前回、グランピングに関する記事の中で、こんなことを話しました。
今の時代、日常生活でも分業化が進んでいて、買い物はお金と物・情報の交換でしかなくなってきています。
「誰から買うか」や「生産者はどんな人か」というものづくりの背景には関心がなく、クオリティと金額だけに注目した買い物になりがちです。
その瞬間瞬間の損得勘定だけを積み重ねて生きているといっても過言ではありません。
もし物流が途絶えて、自分の衣食住を自分で世話しないといけなくなったら?
困りますよね。
というのも、僕も含めて、今、多くの人が農業から離れてしまっています。
農林水産省のデータによると、2022年の基幹的農業従事者(ふだん仕事として主に自営農業をしている人)は約122万人。
日本の総人口が約1億2475万人なので、わずか1%にも満たない割合です。
これは専業農家に限るので、兼業農家やその他の形で農業に携わる人を含めた農業就業人口で考えればもう少し%は増えるとはいえ、それでも総人口に対して一桁です。
しかも基幹的農業従事者の数は年々減少し、2015年に比べると2022年では約50万人以上も減っています。

▼参考:農林水産省ホームページ

歴史的には産業革命、そして日本では1960年代の高度成長期を経て、社会の構造が大きく変わりました。
何度かこのSTORYでもお話ししてきましたが、仕事や生活でスピードやコスパといった「効率」が重視されるようになりました。
その一方で僕たちは、「農ある暮らし」から遠ざかってしまっていました。

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食と農のつながり

BBQ&Coはこの現状に危機感を持っています。
僕らが考えるバーベキューとは、単発的なアウトドアイベントではなく、日々の暮らしの延長上にある「食」だと思うからです。僕らの食は農とのつながりが大事です。
そこで僕らが2021年に始めたのが「Connect BBQ(コネクトバーベキュー)」。
このConnect BBQの背景について、前回のSTORYでお話ししました。

▼グランピングについて考える。

今のうちに「生産者さんとのつながりを持つ」ことが大切です。
さもなければ、数年後、数十年後の僕たちは、きっと食に困るでしょう。
今回はこの危機さらに掘り下げてお話します。

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帰農できない人々

「帰農」という言葉を聞いたことがありますか?
昔は、農家に生まれながらも一旦は土地を離れたり他の職業に就いたりして、退職後にまた農業に戻る人が多くいました。また兼業農家として他の仕事と農業を並行している人もいます。もともとのホームグラウンドは農業で、他の仕事を手放したあとに帰っていく、それが「帰農」です。
しかし年々農業人口は減り、今や、最初からサラリーマンしか経験してきていない人、さらには親もサラリーマンで自分もサラリーマンという人たちが高齢化しています。日本には一次産業を経験したことがない高齢者が溢れています。
帰るべき「農」がない。
自分の手で0→1を生み出した経験がなく、会社で稼いできたお金で何かを得る消費者でしかなかった人が、退職後に残高が不安になって、急に「自分たちが食べるものは自分で作ろう」と思い立っても、何から始めたらいいものか途方に暮れるでしょう。
暮らしを続けるために、お金ではなく「農」にシフトしたいと思う。
でもそのやり方がわからないんです。

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農家や生産者の友だちを作ろう

みんながみんな、いきなり「帰農」を目指すのは無理があります。

そもそも日本の農地は減少しています。家庭菜園をやるにしても、農作業について学ぶ必要があります。つてがなければ新規就農のハードルは高いです。
それよりも、まずは「携帯電話の番号を知っていて、直接売ってもらえたり、相談にのってもらえる農家や生産者がいる」から始めたらいいと思うんです。
農家や生産者の方々とのつながりを持っていれば、必ずしも自分が生産しなくても、「農ある暮らし」に帰っていくことができます。
たとえば、働き方に余裕が出て週3日勤務になったとします。休みの日に畑を始めようとしたら、畑を借りる必要があります。誰から畑を借りればいいでしょう?
さらに、自分が作った作物を自家消費するだけではなく、余った分をどこかで売りたいと思うようになるかもしれません。どうしたらいいでしょう?
やっぱり、信頼できる先輩農家や生産者に相談したいですよね。
だから前もって、つながりをつくっておけばいいんです。
「でも、農家に知り合いはいないし、生産者さんとの接点なんて無いし」と、いう人が圧倒的多数だと思います。

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農とコネクトする

そこで、2021年、僕たちはConnect BBQを始めました。
土地の農家や生産者の方々を迎えて、お客様はもちろん、僕たちBBQ&Coのスタッフも混じって、みんなで一緒に肉を焼いて食べて過ごします。肉が焼けるまでの間に、たくさんのおしゃべりが生まれ、特に生産者の方々が普段どんなことをしているのか、どんなことにこだわりながらものづくりをしているのかを自然に聞くことができます。
BBQの場には生産者か商品者かという隔たりはなく、気が合えば仲良くなって、その後も友人としての関係を築いていくことができます。
ここで出会い、コネクトしたことが、いつか実りにつながるかも。
そう、コネクトが目指すことは即時的なメリットではなく、「いつか」に向けて人生を豊かにすること。
瞬間瞬間の損得ではなく、人間関係を育んでいく楽しみを経験することだと考えています。
今、Connect BBQで、農家や生産者の方々とコネクトしていけたらと願っています。

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