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BBQ&Co|株式会社バーベキューアンドコー

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BBQはハレとコモンを叶える場。

BBQ&Co代表の成田です。
昨年から当社でもリモートワークが増えました。スタッフに「リモートワークどう?」と訊いてみると「集中できる」「時間を有効に使える」という声が上がる一方で、「メリハリがつかず集中しにくい」「オンライン会議の発言タイミングが難しい」「朝から晩まで仕事しかしてない」という声も。

それを聞いて僕は「やはり人はそのようにできているんだろうな」と感じました。
人が人生の歩き方を学ぶ上で大事なのは、検索可能な情報ではなく自ら身体的なアクションをすることで得られる情報だと考えるからです。

アクシデントはエネルギーになる。

リモートワークでは仕事だけを相手にすればよく、集中している最中に話しかけられたり急な会議に巻き込まれたりすることはほとんどありません。自分が想定している以外にノイズは発生しません。

つまり朝から晩まで予定調和。無駄がなく効率的です。だから一人で行う作業はサクサク進みます。一方オフィスでは、雑談に巻き込まれたり休憩所で思わぬ出会いがあったり偶発的な出来事ばかり。一見仕事とは関係なさそうな時間や場所で新しいプロジェクトが芽吹いたり、人の話から元気をもらったりすることも多くあります。

僕らBBQ&Coは、BBQはそんな雑談やアクシデントが生まれる場だと考えています。
効率や秩序を重視する現代社会において、BBQは想定外を体験することができる場になれると思うのです。

BBQは肉を焼いて食べるだけという単純なものではありません。火を囲み、肉を焼く。その余白に会話が生まれ、人と人とを近づけていく。BBQは肉を焼く行為を通じて、美しく面白い瞬間を予定調和なく生み出していくもの。その場にいる人たちが偶発的な美や楽しさを共有することで関係を深めていくのです。僕らが「BBQはコミュニケーション」常々言っていることにつながっていきます。
僕らはその副産物に見えるものこそがBBQの本質だと考えています。

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美とは偶発的なもの。

僕は、美とは偶然的なものだと思っています。
そして人は本能的に必然より偶然に惹かれます。

例えば、別れは必然的だけど出会いは偶然的。
権力は必然的だけど暴力は偶然的に発生するもの。
暴力という表現には語弊があるかもしれませんが、喧嘩や祭りのような、予定調和ではない出来事には生のエネルギーがあふれ出ています。

日本の民俗には「ハレ」と「ケ」の概念があります。
人は社会を作り出したときに「ここからは内側は人が住むところ(ケ)、ここから先は神様たちの世界(ハレ)」と境界線を引きました。
社会の中で生きることは日常です。でも秩序あるケで社会生活を営んでいると……つまらなくなってくるわけです。そこで、ハレ(祭りや儀礼や喧嘩)に身を投じることで生のエネルギーを再生産するとされています。

神様の領域のハレは予測不可能で暴力的です。
秩序を重んじる現代社会では危険なものとして追いやられてしまっています。

日本にはコモンが抜け落ちている。

また、現代の日本にもう1つ抜け落ちているものがあります。
コモンスペースという場のあり方です。

明治時代にパブリックとプライベートという西洋思想と言葉が入ってきたとき、日本人はこれらを二極的に扱ってしまいました。2つの間に明確な境界線を引いて、相反するものとして取り入れました。だから日本には「公私混同」なんていう非難めいた言葉があります。
しかし海外では、パブリックとプライベートが混じりあった「個々の生活がはみ出してもいい公的な場所(=コモンスペース)」があります。公園はまさにコモンスペースで、アウトドアリビングとして利用されています。でも日本では、公園=パブリックスペース。だから「人の目を気にしなくちゃ」「公園にプライベートは持ち込むな」という雰囲気になってしまっています。

そもそも明治期以前の日本には、プライベート/パブリックの概念はありませんでした。あったのは「世間」だけ。自分は世間の一部でしかなく、だから家に鍵を付けるという考え自体がなかったわけです。ところが明治期に急に西洋文化が入ってきて、急いで整備しようとしてしまったから、パブリックとプライベートとその間にコモンがあることをしっかり取り入れることができなかったんです。その証拠に公私が混在するコモンを表現する適当な日本語はありません。

いまだに日本語が定まっていない概念は他にもたくさんあります。例えば、スポーツをしていて仲間が良いプレーをしたときに何て声を掛けますか?
「ナイス!」とかですよね。
これも日本語が当てられていない表現なんです。日本語で「よくやった!」と言うのでは上から目線になるし、「流石です」では下から見上げている感じが出てしまいます。そもそも日本語は序列を明確にする言語なので、平等な間柄のコミュニケーションを言語化することが難しいんです。序列を明確にさせることで集団内の居心地を良くするという習慣が根付いているので、対等な間柄では英語表現でしか褒められないんです。
日本人にとってコミュニケーションがいかに難しいかが実感できる一例ですよね。

話がそれたので元に戻しましょう。

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BBQでコモンスペースを生み出したい。

コモンスペースには、パブリックとプライベートが混在しています。ハレとケの間に境界を設けてきた日本人には矛盾しているように映ります。

でもその矛盾、カオスはアクシデントを生み出します。コモンスペースでは予定調和が通じません。日常の延長線上にあるアウトドアリビングでありながら、想定外のコミュニケーションが生まれる場。そこに身を投じてみたいと思いませんか?

でもコモンの概念が根付いていない日本で「コモンスペース行こうぜ!」と言っても何のことやら?ですよね。そこで僕たちはコモンスペースとして機能できるBBQ場をつくり、BBQを使って人を動かそうとしているんです。いわばBBQは隠れ蓑で、「日本にコモンスペースを生み出して、それを活用できる人種に進化しよう」というのが僕自身の本心かもしれません。

公園開発もBBQ場づくりプロダクト開発も、僕らBBQ&Coの事業の背景には「ハレ」と「コモン」の場づくりという考えがあるんです。

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